梅永雄二氏の講演会

去年、高槻ルーロー主催の梅永雄二先生の「自分らしく生きる成人期3」に参加したのですが、今年も梅永先生の講演会「自分らしく生きる成人期4」に参加して参りました。

 

現在の支援のターゲットは成人期

梅永先生によると、発達障害の方に対する現在の支援体制のターゲットは成人期の発達障害の方になりつつあるようです。これは特に、自閉症スペクトラムの方の就職率・定着率が非常に低くて、この対策が急務ということが理由の一つにあるのでしょう。

知的に問題がない発達障害の人の支援

去年の講演会の内容は主に、知的障害を持っているASDの方のための就労移行アセスメント「TTAP」についてだったのですが、個人的には知的障害を伴っていない発達障害の人の就労移行アセスメントに非常に興味がありました。

前回(2018/09/26)の講演の最後で、「知的障害を伴わない発達障害の人の支援プログラム T-STEPが今データを集めているところで、来年くらいには必要なデータがそろいそうだ」とのことで、今年の講演ではT-STEPについて聞くことができるだろう、と楽しみにして行きました。

TーSTEPはまだだけど

TーSTEPについてはいいところまで行っているがまだデータが完全に取れていない状態なのと、(もともとアメリカのメソッドなのですが)日本の文化に合わせてディテールを「日本化」している途中だということです。

結論から言うと、まだ現時点ではTーSTEPの進展について具体的な話をそれほど聞くことができなかったのですが(講演会の時間不足)、発達障害の人に対する就職支援の現状についての最前線の話を聞くことができて、非常に満足しています。

 

離職理由のほとんどがソフトスキルが原因

発達障害の方でも特に自閉症スペクトラムの傾向の方にとっては、就職困難、あるいは就職しても離職してしまう理由の多くは、仕事の技術・知識であるハードスキルというよりも、むしろコミュニケーション力や自己管理能力といったソフトスキルのほうが原因となっていることが明らかになっています。(これは今までからずっと言われていたことですが・・・)

ライフスキルサポーターが必要

梅永先生は成人期の発達障害の方のライフスキルをアセスメントして、必要なライフスキルを身につけさせる「ライフスキルサポーター(仮)」のようなものが必要だと提唱されていらっしゃいますし、私もそれに同意します。今後自閉症スペクトラムの人に特化した就労支援マニュアルが必要だし、そこではライフスキルサポーターが生活支援などをしていくことが、支援の根幹になるでしょう。

(あまり悪口を言いたくないので言わないですが、SSTだけでは自閉症スペクトラムの支援には問題があります。)

 

用語説明

TTAP

知的障害も持っている自閉症の人のための就労支援プログラム。アセスメント行い、企業実習のような形で行う。

学校を卒業して社会にでるための個別移行計画を作るための評価法

 

TーSTEP

知的障害をもっていない自閉症スペクトラムの、在学中(主に高校生・専門学校生)の方に対する就労支援プログラム。

現在日本化に向けてデータ蓄積中。

 

ESPIDD

知的障害をもっていない自閉症スペクトラムの、現在就職活動中、あるいは卒業後の方のための就労支援プログラム。