一度脳が「できる」と暗示がかかると実際にできるタイプ

 

 

フラッシュバック

発達凸凹の人の中には、ある種の刺激があった場合フラッシュバックが起こる人がいます。つまり、過去の嫌な記憶がよみがえってしまうのですね。

このようなタイプが勉強をする上ではどのような問題が生じるかというと、ある教科やある問題集を見た瞬間に自分がその教科で体験した嫌な思い出が全部頭の中でよみがえってしまい、その教科を勉強することを拒絶してしまうことになります。

ある風景、ある音楽、ある匂い、ある文章を、読んだり見たり聞いたりしたときに過去の自分の体験を思い出した経験はだれにでもあると思います。ポジティブな経験もネガティブな経験もあるでしょう。

もちろん誰にでもそのようなことは起こりうるのですが、発達凸凹の人は特にフラッシュバックが起こりやすいと言われています。

 

普通の人よりもフラッシュバックが起こりやすい

自分がその教科の教科書を見るたびに、普通の人の数十倍の頻度で昔自分がその教科を勉強していて嫌な思いをしたことを無理やり思い出さされたら一種の拷問と言えるでしょう。

フラッシュバックが起こりやすい人は、自分が苦手な科目の勉強をするときに、やる前からマイナスの暗示をかけてしまう傾向があります。まだ問題の文章を読んでもいないのに、「こんな難しいのはできるわけない」とか言ったり、いろんな屁理屈を言っては「できない理由」を述べたりします。自己防衛のために「寝てしまう」タイプや発熱してしまう(無意識的仮病?)タイプもいます。

脳がマイナスの暗示をかけてしまう傾向があることと、発達障害の人が固執性が強くて、好き嫌いが非常に多いこととはおそらく関係があるのでしょう。

 

特定の教科を嫌がるときの解決法

「ある特定の教科をするときにフラッシュバックが起こってその教科を勉強しなくなる」ということですが、「これが絶対に効く」、という解決法があるわけではありません。ただし、今までに効いたやり方が何種類かあるので、その一つをご紹介します。

ある生徒のケース

英語はできるのですが、とにかくリスニングの勉強が嫌いで、リスニングの教材をじっと落ち着いて聞いていることができない生徒でした。(すごい多動でずっとじっとしていられない)。センター試験でリスニングをしないといけないので、リスニングの練習をしようとしたところ、「こんなん難しくてできるわけない」とかしばらくわめいたりしました。しばらく本人の話を聞いていると、以前受験したTOEICのリスニングが全くできなかったので、リスニングは「できない」と本人の脳が思い込んでいるということがわかりました。

そこで、センターの過去問のリスニングを実際にCDを回して一緒に聞いていき、本人と同じ目線で問題を解いていきました。リスニングの大問1番がとても簡単で理解できるということがわかった瞬間に、次の問題も自分で解きだしました。そのあとはセンターの英語のリスニングは簡単にできるようになりました。それ以降センター模試でもリスニングが40点以下をとったことがありません。このようなタイプの人は究極の「やらず嫌い」なだけで一度脳ができると思ったら、それ以降「英語ができる」ようになるよう脳に可塑性ができるようです。難しい問題でも脳が「できる」と思っている間は実際に解けるようになるのです。いちどプラスの方向に働くと「脳が暗示にかかりやすい」という特徴がプラスに働くのです。

今では「センターの英語のリスニングで40点以下なんて、どうやってとったらいいかわからない」とか言っています。

まとめると、

  • 本人にとっては少し簡単目な問題を一緒に解く

本人の脳に「なんだ簡単だ」と思わせる。

何度か同じレベルのことを繰り返す。

本人の脳が「自分はこの分野はやったらできるんだ」と学習する。

少し難し目の問題でも本人の脳が逃げなくなる。

 

NLPは効く?

ラッシュバックがきついタイプの人ですが、ある種の刺激に対してネガティブなフィードバックがでてくるのを、ニュートラルあるいはポジティブなフィードバックになるように変えればいいのですから、もしかしたらNLPのようなものなら効くかもしれません。ただし私自身はNLPを試したことがないのでなんとも言えないのが現状です。もし誰か人柱になる人興味がある人がいらっしゃったら、実際に体験されて私に報告していただきたいです。NLPは高いし・・・。

 

 

注:「フラッシュバック」という言葉に関しては、非常にあいまいに一般用語として用いています。精神医学用語としての「フラッシュバック」の定義からすれば使い方としては間違っているかもしれませんがご了承ください。