イラストAC  YUKO様

 

支援学級で外国人生徒に日本語教育

2021年5月10日の日本経済新聞の記事に、支援学級が日本語が苦手な生徒に日本語を教えている現状が紹介されています。このグローバル時代に、外国人の人材開発をしないといけないのに支援学級しか受け皿がないのは問題だ、という方向性の記事です。日経は当然経済的な視点で物事を見ていますし、総論としてはそのとおりなのですが、少し補足しておかないといけないことがあります。

支援学級=障碍者ではない

支援学級という言葉を、従来の特殊学級という言葉の延長線上に見ていらっしゃる方は、支援学級は障害者の方が行く場所、あるいは学校の勉強について行くことが困難な方が行く場所というイメージを持っていらっしゃると思います。

支援学級=支援が必要な人が行く場所

しかし、現在の支援学級という枠組みはそれよりもずっと広いものです。欧米、特にイギリスではかなり前からこの価値観ですが、「通常のコミュニケーションに困難を抱えている人はすべからく支援が必要な人達であり、その人達が支援を受けるのは当然の権利である」という価値観です。その価値観に則ると、外国籍のお子さんで、日本語でのコミュニケーションに困難を抱えている人はすべて支援が必要な人たちであり、支援学級の対象となる人たちです。欧米だと支援が必要な障碍者の範囲は日本よりもかなり広くなります。(人口の10-20%)

 

支援学級の本来の役割

記事には「支援学級しか受け皿がない」、というニュアンスが少しありますが、支援学級で日本語困難なお子さんを支援するのは、むしろ本来の形です。

ただし、支援学級のしごとが以前よりもかなり広く、その分負担がかかっているのは事実です。