診断名だけで判断しないこと

 

診断名だけではわからない

特性(発達凸凹)の人には本当にいろんな人がいます。発達障害についての紹介本や教科書には典型的な例については書いてありますが、すべてを網羅できているわけではありません。一人ひとり全然出てくる症状が違うので、たいていは個別対応が必要です。

例えば「多動」と書いてあっても、人によって全然程度が異なります。ちょっと机に座っていて、足をぶらぶらさせているレベルから、ずっと跳んだる跳ねたりしている人や、「固執性とパニック」と書いてあっても、ちょっとぐずっているレベルから、冷蔵庫を無理やりひっくり返す(リミッターが外れているため、馬鹿力がでる)レベルまであります。

 

WISCやK-ABC

WISCやK-ABCのような知能検査・心理検査の結果、明確に特徴がでるときもありますし、でないときがあります。

力がある人の中には、WISCやK-ABCの数値を見ただけで、だいたいどのようなタイプがドンピシャで当てることができる人がいらっしゃいました。ある児童福祉センターの発達相談科の先生はそうでした。

(でも、WISC等の数値を見ても、それを具体的な解決策に導くことができるようにフィードバック出来ない人も残念ながら大勢いらっしゃいます。このあたりは、運不運があり、力がある人を見つけるために、人をあたっていく必要があります。)

 

発達の年齢によっても変わる

ADHDと診断されていても、ある年齢の時期はどう見てもアスペルガー障害の特徴が顕著に出てくるときがあります。逆ももちろんあります。ですから、とにかく最初は「自閉症スペクトラム障害」と診断することが増えてきたと思います。(もちろんDSM-4の基準で診断している人もまだいらっしゃいます。)

 

実際に現れる行動は人によって違う

検査結果が同じような数値があっても、実際の本人の行動が違うときがあります。例えば・・・

田舎で農業をやることになった青年

・ある引きこもりの青年がいたのですが、数年間ずっと昼間ひきこもっていたそうです。ところがいつも人通りが少なくなった夜にはきまって外出してそうです。そこでいろんな支援者と相談してわかったことは、青年の住んでいた地域が都市部だったのですが、都会の昼は情報量が本人にとっては多すぎたようで、昼間の都会の情報量を処理できない状態になってしまったそうです。都会でも夜は比較的情報量がすくなくて、それで夜に外出できたそうです。

そのことに本人も支援者も気がついたあと、ある人が「田舎で農業をやらないか」と誘ったそうです。田舎だと非常に環境の変化が少なくて、数年経過してもほとんど街の風景が変わらないというのは珍しくありません。そこで農業を手伝ったりしていたところ、地元のじいちゃんばあちゃんから、「ちょっと変わったところはあるけれども面白いやつだ」と受け入れてもらえて、自分の居場所ができたようです。

 

 

 

 

ずっと海外を放浪している人

・ずっと海外を放浪している人がいて、ある人が「なんでずっと海外に行っているの?」と聞いたところ、「日本で日常生活をしていると鬱になる」と答えたそうです。日本が嫌いとかそうではなく、日本の日常生活のように常に同じ刺激が繰り返される環境にいると、脳が「退屈」に感じてどんどんやる気がなくなっていくそうです。

それで、海外でも、わざわざ辺境の国や貧しい国、日本の常識が通じない国などを旅行して常に刺激を求める生活をしているようなのです。この人はある最貧国で昏睡強盗とかにあった経験をケロっとして語っていました。もしかしたら、芸能人や冒険家・旅行家の人で、我々凡人から見たら「なんでこんな極端なことをするんだろう」と思ってしまう人はこういう特性をもっているのかもしれません。

 

上記の2人はほぼ同じ診断名ですが、行動は全然違うというのがおわかりになると思います。