イラストAC 丑蟻様

言っていることは正しいが・・・

神との対話

今回も書評になります。と言っても、前回までとは異なり批判的になりますが・・・

今回ご紹介するのは、20-25年前に大ブームとなったチャネリング本

 

神との対話ニール・ドナルド ウォルシュ サンマーク出版

 

です。

ある人生に絶望した人(著者)が自分の人生に対する思いを紙に書き付けていたら、ペンが勝手に動き出して自動筆記ができた。神との対話が始まったという話です。

20年以上前に読みましたが、言っていることは素晴らしく、納得できることも多かったです。これで新しい人生の地平が開かれたような思いが(当時は)少ししました。

ニューエイジの集大成本

知っている人からしたら常識かもしれませんが、この本の内容は50-60年代のヒッピー文化から始まった、アメリカ西海岸のニューエイジの運動の集大成のようなもので、これらの考えを全部取り込んだものです。

コンサル星人様がこのあたりを詳しく解説していらっしゃいます。

 

信用できるものではなくなった

はるか昔に読んだときは、素晴らしいアイデアと思ったこともありましたが、20年以上たって思い返すと自分の人生の役には立たずに、「信用できるもの」リストからは外れてしまいました。これは先日の信用できる人1信用できる人2、とは正反対です。

 

できないお前が悪いと言っている感

この本の内容ですが、「言っていることは正しいが役にはたたない」というのが正直な感想です。

どのようにしたらうまくいくのか、各自の人生のそれぞれの段階でどのように取り組んだらいいのか、どのようにしたら乗り越えられるのか、という実用的な機能を果たしていないです。

例えて言うなら、目の前に青チャートを3冊ボンっっと渡して、

「この青チャートを数1・Aから数2・B、数3と3冊それぞれ3周やれば京大うかるぞ」

と言っているような感じです。実際そうかもしれませんし、頭のいい人なら自分でそれくらいできるかもしれません。

でも、ほとんどの人は凡人で、時には詰まり、時には道に迷うことがあります。そのあたりを丁寧に道案内してくれる人が必要です。

努力不足の神様

どうもこの神様は、人間が時間的、空間的、体力的、認知的な制約を受けて生きているということを根本的にわかっていない感じがあります。完璧超人が人間を見て、「なんでできないんだ」と思っている感じです。

こういう神様(神様ではなく、たまたま地球を通りがかった霊的存在でしょうが)は、人間よりもはるかに時間的、空間的、体力的、認知的に有利な立場にいながら、人間にとってわかりやすいように実践的に教える、という努力をしていない、努力不足の存在だと私は感じました。

 

 

一番の疑問点

このシリーズを読んで(と言っても読んだのは20年以上前ですが)一番疑問に思ったのは、神を名乗っている存在が、

「いいだろう、知ることには責任が伴う」

と言っていたことです。人間が神からの知識を得ることは責任も引き受ける必要がある、との文面ですが、

彼のロジックで言えば、

人間よりも遥かに広い視野でかつ知識があるあなた「神」が一番責任があるのじゃないの?

ということです。

この自分は神だと言っている存在、は人間個人一人ひとりよりも数億倍、数兆倍の責任を引き受ける必要が、彼のロジックを用いればあると思うのですが、彼はその責任を引き受けているのでしょうか?大いに疑問です。