イラストAC acworks様

異様に遅い日本国の意思決定プロセス

先日アメリカ人の方と日本のワクチン状況について会話しました。

バイデンからの振込は4月に終わった

始まりは私が、「バイデンからの小切手って、もうもらったの」と聞いたことから始まりました。

「もうとっくに来ている。4月には直接振り込まれていた」

ということです。そこから現状の日本についての彼の意見がありました。

いくつかにまとめると、

  • 老人から先に接種するのに、なぜネットからの予約を軸にするのか。日本国は老人が摂取登録するのに、最初から家族の人間に協力させることを念頭に置いているのではないのか。電話なんてすぐにパンクするなんてわかりきっているではないか。失業している飲食店の人などをなぜ、電話対応者として臨時雇用しないのか。あるいは老人の家に直接訪問する係として臨時雇用しないのか。これで失業対策になるではないか。
  • アメリカは国外に住んでいるアメリカ人にもこのようにすばやく対応するのに、なぜお金を供給するだけでもこれだけ時間がかかるのか。
  • なぜワクチン接種が7月以降になるのか。アメリカだと暴動が起こるかもしれない。なぜ注射実施者を臨時に大量雇用して、一気に6月終わるまでに摂取終わらせられないのか。注射なんてだれでもできる。これで失業対策にもなるだろう。
  • 日本はなぜオリンピックの是非の決断をこれだけ遅らせるのか。お客さんがくるのに、まずは部屋をきれいにしないといけないだろう。お客さんに来てくれと言いながら、まだ部屋が片付いていないのは本末転倒だろう。まず部屋を片付けて、それで客に来てくれというのが順序だ。私から言うと優先順位は単純だと思われる。なぜ日本国は、国の資源を最初にワクチン接種に全力投球しないのか。そのあとの優先度は経済かオリンピックだろう。その優先度は国民が決めることだ。なぜ決められないのか。
  • ここまで遅いと今まで日本国というものに対してもっていた尊敬の念がなくなってきた。(誤解のないように言うと、この人は長年日本に住んでいて、日本にかなり同情的な人です)

といったものです。100%は同意できないものの、うなずける部分も非常に多いです。

 

アメリカ人の考え方

以前にも申し上げたとおり、ここにもアメリカ人の考え方の特徴があります。それは、

  • オープンな話を好むこと。暗黙の会話を嫌う
  • 明示的な意思決定の選択肢を提示してそのなかから選ぶことを好む
  • 問題を単純化することを好む
  • 意思決定に関して、最後は個人の決断に委ねようとする(ワクチン接種のリスクよりスピード重視。それを受け入れる人は自己責任でワクチン接種してくれ)のを好む。

などです。

 

可塑性がない日本のシステム

この問題は日本という国の制度の問題をあぶり出してきたように思います。

バブル崩壊以後、日本の国は衰退の一途をたどっているわけですが、その理由の一つとして、この国の制度が意思決定に関して異常に遅いというのが挙げられます。

なかなか変われない理由の一つとして、私は日本の国の文化的な問題が挙げられるのではないか、と思うのです。日本人の文化的な特徴ですが、日本人は出来上がった社会的規範に対して自分を合わせていく、ということを幼い頃から意識的無意識的に繰り返していくということを常にしています。それは美点ではありますが、その規範そのものを検討することは、「悪」である、という無意識的な刷り込みが行われているような気がするのです。「空気を読め」という非言語的な空間です。

ワクチン接種の例で言えば、注射を打つのは医者でないといけない、他の者はだめだ、という無意識的な刷り込みが出来上がっています。いい意味で言えば安全を求める気持ちが強いのですが、悪い意味で言えば、社会的な判断する際に権威をあてにしすぎるという傾向があります。注射なんてだれでもやったらいいじゃん、という素人考えはアメリカ人のほうがもっているのでしょう。日本ではようやく歯科医を注射実行者として動員するのですが、それでも足りないでしょう。

日本のシステムがソリッドすぎるために、可塑性が足りずに変化に対応できないというのが明らかになっている今日です。

 

 

医療敗戦

ご存知のように日本の政策はこの1年、経済をとるのか、コロナの抑え込みを取るのかどっちを優先するのかはっきりせず、そのままずるずる来てしまいました。結局どっちもうまくいかず、最低の結果になってしまっています。日経も「この1年なにをしていたのか」と医療敗戦であると言っています。事実上日本型システムの敗北であり、ITはとっくに台湾に抜かれていることが如実に現れたのです。ずるずるいってしまったために、経済に悪影響が出ています。