異文化理解をすることで得られること

 

アメリカ人にとっての誠意

私はアメリカ人の先生に5年以上英語を習っているのですが、この前、「年賀状を書くのが面倒くさい・・・」と私に言ってくれました。(5年も一緒にいるので結構本音で話すようになりました笑)

「なんでこんなに大量に(人によっては何百人も)出さないといけないの?。嫌いな人とか、会社の同僚・上司全員に出している人とかいるんでしょう」とか言ってきます。と言ってもこの先生は物柔らかな穏やかな人で、某アメリカ人の芸人のように「Why Japanese ~~~~!!!!」とか逆ギレしてくる人ではありません。単に疑問として言ってくれています。

相手に正直になるのが誠意

ただし、アメリカ人の一般的傾向として、「相手に正直になるというのが、相手に対する誠意をあらわすことになる。」という価値観を持っている人が多いです。先程の話だと、アメリカ人のその人にとっては気になるのは、「嫌いな人なのに、まるで友達のように greeting card を出すのはコミュニケーションを偽っているのではないのか」ということです。日本人はよくする「世間体を保つ」行動は場合によってはアメリカ人にとっては「fair ではない」ように写るときがあります。

その他にも、日本の営業マンは会ったことがない、あるいは1度や2度ほど仕事だけしか会ったことがないにもかかわらず、顧客にまるで親友に出すような手紙を自筆で書いてくることがあることに対して、「sneaky だ」と言いました。(私もそう思います)。

また、ホステスやスナックのような場所に顧客や同僚を連れていき、それからどのようなサービスが行われるのか告げないで、相手を罪の意識をもたせることで相手を囲い込む、という行動(営業マンがよくやる)に対しては、「相手に正直でない。fair ではない。」と断言していました。

アメリカ人が潔癖とかそういうことではなく(全然そうではないです笑)、人間関係において、相手を偽るということに対してはかなり嫌悪感をもつ文化をもっているということです。

 

サービス過剰社会

この先生は「なんで、保険サービスの営業マンはこの時期、1件1件カレンダーを配っているのだ。ものすごい作業量で、しかも無駄じゃないか?」とか「雑貨やstationary goods を買った時、店員があとで手書きで紙にお礼の手紙を渡していたが、あれを顧客一人一人にするのか?ものすごい作業量じゃないか」と驚愕していました。日本のサービス業従事者が異常に労働時間が長い理由がようやくわかってきたようです。

日本の社会、特に女性社会が「相手に過剰なくらい誠意を表現することで自分が安心する社会」ということには早くから気がついていました。でも私には正直に「相手が緊張して、まじめに(rigid)気を使っているのがわかると、逆にこっちが疲れるんだよね。」と言ってくれます。「アメリカ人は相手がリラックスしている方が、こっちもリラックスできるので。」と本音をぽろり。

 

自分たちを相対的な視点でみることの意義

最近テレビを見たときに(といってもめったに見ないのですが)、やたら外国人が日本を「すばらしい」と褒める番組が多いのに違和感を感じていました。このような接待用のような番組を見ていても、自尊心は満たされるかもしれませんが、本当の情報は入ってきません。異文化コミュニケーションのいいといころは、「自分たちが当然だと思っている価値観を相対的な視点でみることができる」という点にあると思っています。人間というのは「当たり前」すぎることは結構気づかなくなってしまうものでありまして、常に問題を「見える」化していく作業が必要になってきます。外国が正しくて日本が間違っている、とか日本が正しくて外国が間違っているとかそういうことではなく、自分にたちの価値観を相対的な視点で見てから自分が望む価値観を選んでいく、という意識的作業が必要になってくるのを感じています。