書評「発達障害がある人の就労相談」
「発達障害がある人の就労支援」 梅永 雄二
を読ませていただきました。今回はその書評です。
この本は多く分けて3つの部分から成り立っています。
1,発達障害に関する一般的な説明と当事者が置かれている状況
2,支援者からみた発達障害当事者の人の就職
3,当事者から見た就職
の3つです。この本では特に、2の「支援者から見た当事者の就職」に10話も割かれており、いろんなケースが書かれています。支援者のケースは、
- 障害者職業センター
- サポートステーション
- 特別支援学校の先生
- 一般の学校の特別支援教育担当
の方が多いです。発達障害の人の支援を考えていらっしゃる方、あるいは当事者の保護者の方が読まれたら非常に参考になるでしょう。
一方、当事者の例が3件しかないので、「当事者側の人の気持ちを知りたい」という人は少し物足りないかもしれません。
どういう方向から就職したら望み通りのしごとにありつけるのか、発達凸凹の人の就職活動はそのゴールにたどりつくのが非常に難しい、というのは厳然たる事実としてあります。当事者の多くの人はそこで大きな挫折を経験しています。特にグレーゾーンの人はどの方向から就職をしたらいいのか難しいところです。(この本にもいろんな例が出ています。)
個人的にはこの本を読んで一番心に響いたのは、当事者の一人のセリフを読んだときでした。
「発達障害者向けの職業適性検査があればうれしい。」
というセリフです。私もそう思いますし、そのようなものをできるだけ早く開発したり取り入れたりして、発達凸凹の人のための能力開発や人材開発に役立てていきたいです。
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