梅永雄二氏の講演会

以前に書評で 梅永雄二 編著 「発達障害がある人の『就労相談』」の記事を書かせていただきましたが、その著者である梅永雄二先生の講演会があったので行ってきました。

 

TTAPの第1人者

9月26日(水)に開催された(主催:高槻ルーロー)、梅永雄二先生の講演会が開かれました。梅永先生は知的障害を持っているASDの方のための就労移行アセスメント「TTAP」研究の日本における第1人者です。長年発達障碍の人の就労支援などを担当されていらっしゃいました。

現実的なメソッド

梅永先生は発達障碍の人の就労支援を長年されていただけあって、お話されている内容が非常に具体的、現実的であることに感銘を受けました。当事者のためにどのように就職先をみつけたらいいのか、当事者のためにどのように仕事の環境を構造化したらいいのか、そしてその構造化メソッドをどのように支援学校等での就労準備環境にフィードバックしたらいいのか、非常に具体的で、「引き出しが多い人だな」という印象を受けました。

 

高槻ルーロー

主催された高槻ルーロー様(FB:https://www.facebook.com/TAKATUKIruro/)

についても非常に好印象を持ちました。ほとんどの活動者の方のお子さんが当事者で、当事者のためになんとかお互い助け合いながらそれぞれの道を切り開いていこうという「やる気」に満ちていました。北摂地域にお住まいで当事者のお子さんがいらっしゃる方は、一度参加されてもいいかもしれませんね。

 

T-STEPはあと少しで実用化

今回の講演会では、高校や大学からの就労支援アセスメント「T-STEP」の紹介も行われました。データをとるところもかなり進んでいて、あと少しで実用化のところまできているそうです。T-STEPの勉強会等があればぜひ参加したいですね。

 

アメリカでもASD当事者の就職率は低い

アメリカでも通常高校や大学を卒業したASD当事者の就職率およみ定着率は非常に低いということがわかりました。特に高校卒の就職率は18%!!。つまり日本と同じということがわかりました。日本においても知っている人は自明のことかもしれませんが、支援学校などを卒業した知的障害、身体障害、自閉症の人よりも、知的には問題ない自閉症で高校卒、大学卒の当事者の方がずっと就職率、定着率ともに低いというのが問題としてあり、今まで見過ごされてきました。

ASD当事者にとっての就職には多大な問題があるのにもかかわらず、高校・大学では伝統的な教科学習に重きが置かれて、ソフトスキルの獲得(それも社会で本当に必要なスキル)に重きを置かれていなかったからです。ようやくこれを構造的に当事者に獲得させる仕組みができあがりつつあります。そのうちの一つに「T-STEP」がなりうる可能性があります。